IaaSとオンプレミスを徹底比較|違い・メリット・注意点をわかりやすく解説

IaaSとオンプレミスを徹底比較|違い・メリット・注意点をわかりやすく解説

 クラウドサービスが普及する昨今、IaaSとオンプレミスの違いについて改めて確認し、比較・検討を行いたいと考えている企業も少なくありません。

 そこで本記事では、IaaSとオンプレミスの違いやメリットとデメリット、移行時の留意点などをわかりやすく解説します。

▼ 目次
IaaSとオンプレミスの違い、メリットとデメリットとは
IaaSがオンプレミスより優れる3つのポイント
オンプレミスからIaaSへの移行時の3つの留意点

1. IaaSとオンプレミスの違い、メリットとデメリットとは

 IaaSとオンプレミスの違いを整理する目的で、以下4つの観点で詳しく比較していきましょう。

1-1. 調達

 IaaSとオンプレミスを比較する際に重要な1つ目のポイントは「調達」です。

  • オンプレミス
    • 導入時に物理サーバーを調達する必要がある
  • IaaS
    • 物理サーバーを調達する必要はなく、代わりにサービスを契約


 「調達の観点」においては、IaaSは物理サーバやOSがすぐに利用できる状態で用意されているだけでなく、ネットワークなどのインフラ環境が用意されているため、基盤環境の工数と構築時間を削減できる点においては、メリットが認められます。



1-2. ファシリティと設置

 ファシリティと設置の観点においてもIaaSとオンプレミスでは違いがあります

  • オンプレミス
    • ラック等のファシリティ関連の設計や、キッティングスペースが必要
    • 電源やネットワーク、コンソール(KVM)等の準備
    • 設置作業が必要
    • ハードウェアの故障交換の対応が発生する
    • サーバー本体の償却期間から、おおよそ5年ごとにシステムの更新がある
    • サーバーの更改時には、構築したシステムへの全データの移行、テスト、切り替え立ち合いなど、膨大な作業が発生する
    • 物理サーバーは社内資産となるため資産管理が必要
  • IaaS
    • IaaS提供事業者が契約内容に基づいて提供


 オンプレミスの場合はシステム管理者の多大な労力を要しますが、IaaSに移行すれば調達に関する手間も少なくなる上、減価償却期間のサイクルからも離れることができるため、大きなメリットとなるでしょう。

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1-3. カスタマイズ性

 次に、IaaSとオンプレミスを「カスタマイズ性」で比較してみましょう。

  • オンプレミス
    • 自社のポリシーに合わせた柔軟なカスタマイズが可能
    • システムリソースについてもCPUの種類やメモリの数、ストレージのサイズなど、ハードウェア(HW)構成を自由に決めることができるため、柔軟性に優れている
    • カスタマイズに必要な部品調達、カスタマイズによるインフラ周りの動作テストや影響確認などをすべて自社で行う必要があり、手間と時間が必要
  • IaaS
    • オンプレミスに比べれば範囲は若干限られるものの、メニューの中からインフラの構成を決めて、そこからプラットフォームやアプリケーションなどを自社で決めて導入できる
    • カスタマイズに必要なCPUやメモリ、ストレージなどのインフラの構成変更については、Web画面から契約内容を変更できる簡便さがある



 以上のように、IaaSはオンプレミスに比べるとカスタマイズ範囲は限られるものの、SaaSやPaaSを含めたクラウドサービスのなかでも高い自由度を兼ね備えているといえるでしょう。

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1-3. 費用感

 IaaSとオンプレミスを比較する4つ目のテーマは「費用」です。

  • オンプレミス
    • 物理サーバー本体購入に加えて、サーバーOSの構築、ネットワーク設計設定など、人件費も必要になるため、IaaSに比べて初期コストが高くなる傾向がある
    • サーバールームに設置する際はスペース代や管理費用も発生する
    • DR環境用のサーバーは、サービスの稼働有無に関係なく、費用が固定的に発生する
    • HW故障時には対応費用、必要な部品交換の費用もしくは保守費用が発生する
    • 安定稼働すれば障害対応などの運用負荷は軽減されるが、減価償却期間によって発生する5年ごとのシステム更新時の設計・調達・構築などの費用は避けられない
  • IaaS
    • オンプレミスに比べて初期コストが少ない
    • 物理サーバーを購入する必要もなく、最小限のユーザー、構成で始めることが可能
    • スペックが低いシステムリソースによる構成も可能
    • IaaSは従量課金制のため必要な分だけ支払うだけでよく、ランニングコストの無駄を抑えることが可能
    • BCP対策用のDR(Disaster Recovery;災害対応)環境を構築する場合においては、IaaSの場合日常的にサービスを稼働しなければ最小限のコストを支払うのみで済む
    • ハードウェアが故障しても、対応費用を支払う必要がない



 このようにIaaSはオンプレミスと比較すると、コストのムダを省きやすいと言えます。

 尚、ROIが重視された従量課金制のIaaSに関する解説については、以下よりご覧いただけます。


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2. IaaSがオンプレミスより優れる3つのポイント

 IaaSがオンプレミスよりも優れているとされるおもなポイントには、以下の3つがあります。

2-1. 柔軟な構成変更

 IaaSがオンプレミスよりも優れているとされる1つ目のポイントは、柔軟な構成変更です。

 CPUやメモリ、ストレージなどのシステムリソースを、部品調達をすることなく拡張・縮小することが可能です。変更内容を申し込むだけで手続きが完了しますので、スケールアップ・スケールダウンにも対応できます。

 ちなみにオンプレミスサーバーの場合、拡張・縮小は可能ですが、必要なCPUやメモリ、ストレージなどを新たに購入しなければなりません。また、自社やHW構築の委託ベンダーが直接作業して入れ替えるため、費用と手間が発生し、調達から変更適用までの期間も長くなりがちです。

 その点IaaSの場合は、契約内容を変更するだけで構成を変更することができます。そのためインフラなどの構成も柔軟に変更することができ、社員数や機能の規模に合わせてスムーズに対応することが可能です。

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2-2. コスト削減

 IaaSがオンプレミスよりも優れているとされる2つ目のポイントとしては、コスト削減が可能な点が挙げられます。

 先述のとおり、物理的なサーバーの購入が不要であるため、初期コストがオンプレミスに比べて少額で済みます。

 また、ランニングコストにおいては、CPUやメモリなどのシステムリソースを必要な分だけ支払うだけでよいので、将来の処理負荷を見越した余剰リソースの調達などオンプレミスで発生しがちな余計な費用を払う心配もありません。

 さらに、DR環境コストにおいても、構築後サービスを稼働しなければコストを抑えることができます。IaaSのサービス基盤側でHW故障が起きてしまった場合においても対応費用は必要ありません。

 以上のように、初期のみならず運用、災害対策、故障時のどのポイントにおいてもIaaSはオンプレミスよりも安価で済むため、コスト削減に直結しやすいと言えます。

 また、毎月の費用を一定にしやすいため見通しがつきやすく、IT投資戦略を立てるなどの将来設計がしやすい点も魅力です。

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2-3. BCP対策の実現

 IaaSがオンプレミスよりも優れているとされる3つ目のポイントは、BCP対策です。

 IaaSはBCP対策メニューを選択することで容易に実装でき、災害時のリスクを軽減しながら事業継続性を高めることが可能です。遠隔地にあるデータセンターに設置されていることが一般的であるため、自然災害や事故などの有事、災害などが起きて自社が被害にあったとしても、サーバー本体は影響を最小限に留めることが可能です。

 また、設計次第では本番環境からDR環境への切り替えも容易にでき、冗長化対策へのコストも抑えることが可能です。

 一方オンプレミスの場合、災害対策を施そうとすると多大な労力と期間を要します。本番環境が設置されたサーバールーム自体の対策、冗長化、補助電源、耐震設計に加えてDR環境の実装などが必要になり、実現するにあたって膨大な作業を要するでしょう。


 以上のことから、本番環境設置拠点の被災に伴ってサーバーも使用不可となる可能性があるオンプレミスと比較すると、IaaSはBCP対策に優れていると言えます。


3. オンプレミスからIaaSへの移行時の3つの留意点

 ここでは、オンプレミスからIaaSへ移行する際に注意すべき3つのポイントを紹介します。

3-1. 要件定義をしっかり行うこと

 オンプレミスからIaaSへ移行する際は、要件定義をしっかりと行うことが重要です。

 要件定義をしっかりと行うことで、社内の要件一つ一つがIaaSは対応しているか、実装可能か、どのくらいコストがかかるかなどを正確に把握できるからです。


 たとえば、IaaS環境を利用するにあたって、最初に基幹システムなど、どの既存システムと連携する必要があるか、今後どのようなシステムと連携が必要か、連携にあたってセキュリティやネットワークの要件定義など、徹底した確認が必要になります。

 確認を怠ってしまうと、導入後にデータのフォーマット変換や、インフラ周りの構成変更が必要になり、思わぬ追加費用がかかるかもしれません。

 また、IaaSは基本的に接続方法が閉域網やVPNなど社外ネットワーク経由になるため、個人情報などの重要な情報は扱わないことへの確認も必須です。


 既存システムからスムーズに移行するために、スモールスタートを前提にしながら、必要な要件を細かく洗い出し一つひとつ対応方法を考えていきましょう。

 移行を失敗させないためにも要件定義時に、現状システム要件の洗い出しをしっかりと行うことが肝要です。

3-2. PoC(Proof of Concept)の計画を行う

 オンプレミスからIaaSへ移行する際の2つ目の留意点は、PoCの計画を行うことです。

 PoCとはProof of Conceptの略称であり、概念実証のことを指します。具体的にはIaaSへの移行を成功させるために、本番同様の環境または近いシステム環境で問題なく稼働するかを試すことです。

 オンプレミスとIaaSは接続ネットワーク形態から大きく異なるため、想定外の問題が突然出てくる可能性も十分に考えられます。そのため、稼働後の影響を可能な限り抑えようと、多くの企業がPoCを検討しているのが昨今の現状です。

 なかでも最短 5 営業日でAmazon WEB Services、Microsoft Azure、Oracle Cloud、Google Cloud Platform などのパブリッククラウドとオンプレミスを閉域の専用線で接続できる「CTC Cloud Connect」は、パブリッククラウドと社内システムの連携を視野に入れたPoCをセキュアに素早く実施できることから、ビジネスへの即応性を高めたいと考える多くの企業から注目されています。


 CTC Cloud Connect とパブリッククラウドの接続仕様に関する解説は、以下よりご覧いただけます。


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3-3. 長期視点でコストを考える

 オンプレミスからIaaSへ移行する際の3つ目の留意点は、長期視点でコストを考えることです。

 一般的に、IaaSはオンプレミスと比べると初期費用、ランニングコスト、災害対策コスト、障害時コストなど、すべてにおいて安価で済むとされています。

 しかし、構成によっては移行後早々に「期待していたほどコストが下がらなかった」と評価されることもあるようです。初期段階でのコストの差は、物理サーバー、サービス料金だけで計算・比較されるので、コストの違いが目立ちにくいのです。

 このように、IaaSの構成によっては、移行直後のコスト効果を感じにくいケースもありますが、IaaSのコスト効果は長く使えば使うほどしっかりと表れてきます。IaaSの場合、最先端のセキュリティ対策が施された環境を常時安定的に利用することができますが、オンプレミスがIaaSと同じような環境を維持するためには機材の老朽化対策を含め膨大なコストを要するためです。

 IaaS導入後のコスト評価においては、稼働後すぐではなく、3年後、5年後を見据えることが重要といえるでしょう。

まとめ

 IaaSとオンプレミスの違いについて詳しく紹介しました。

  • オンプレミスに近い、カスタマイズ性の高い環境を構築したい
  • 日常的に社外からアクセスしたい 
  • オンプレミスで負担に感じていたインフラ周りのメンテナンスを軽減させたい
  • 契約から導入までの期間を短くしたい



 これらのニーズに応えられるIaaSをこの機会にぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

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