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ユーザー企業がオンプレミス環境をあえて持ち続ける理由とは
企業システムにクラウド化の波が押し寄せ、新規システムの導入や既存システムの移行が進んでいる。
総務省が公開している令和2年情報通信白書(令和2年情報通信白書)によると、クラウドサービスを一部でも利用している企業の割合は、2019年の実績で64.7%であり、前年の58.7%から6.0ポイント上昇している。
利用サービスは「ファイル保管・データ共有」の割合が56.0%と最も高く、「電子メール」(48.0%)、「社内情報共有・ポータル」(43.0%)と続くが、「営業支援」や「生産管理」などの高度な利用は低水準に留まったままだ。
一方、パブリッククラウドに移行した企業が、オンプレミスに回帰している現象も見られる。
IT専門調査会社のIDC Japanが、2020年7月に国内企業/組織に実施したアンケート(IDC Press Releases 国内ハイブリッドクラウドインフラストラクチャ利用動向調査結果を発表 2020年10月21日))によると、パブリッククラウドからオンプレミスやプライベートクラウドに移行した、または2年以内の移行を予定しているとした回答がそれぞれ85%を超えている。
その理由は、セキュリティの向上、データやアプリケーションの連携、管理の一元化、パフォーマンスやサービスレベルの向上が上位に入ったという。
先の情報通信白書でも17.9%の企業が「クラウドサービスを利用するつもりはない」と答えているが、なぜ企業はオンプレミス環境をあえて持ち続けるのか。その理由を考えてみよう。
▼目次
1. オンプレミス環境で管理し続ける5つの理由
2. オンプレミスとパブリッククラウドの違いとは
3. パブリッククラウドと同じシステム基盤を自社内に置く「TechnoCUVIC Zero」
1. オンプレミス環境で管理し続ける5つの理由
既存のシステムをオンプレミス環境で管理し続ける理由はなんだろうか。それには5つの理由が挙げられる。
1-1. 自社のIT資産を有効活用したい
オンプレミスとは、サーバー機器やネットワーク機器、OS、ミドルウェア、アプリケーションなどのIT資産を購入またはリース契約し、自社または事業者のデータセンター内に設置して管理することを指す。
データセンターの建屋(自社所有の場合)、冷却設備、給電設備などの設置・運用もすべて、IT資産を管理する企業の責任となる。
クラウドサービスに移行すれば、ハードウェア機器の購入またはリースは不要になり、データセンターも不要になる。
しかし、データセンターの設備は、建屋で数十年、電力・空調設備でも10年、20年、サーバー機器やネットワーク機器は5年前後などと、ライフサイクルは大きく異なっている。
クラウドサービスに移行すると、これらの資産は一斉に手放すことになり、大きな無駄が発生する。自社の保有資産を有効活用するためにも、オンプレミス環境で管理し続けたいと思う企業は多い。
1-2. 社内人材を有効活用したい
自社のサーバー・ネットワーク技術者は、貴重な人的資産だ。
クラウドサービスに移行すれば、インフラの保守・運用はクラウド事業者に任せることはできるが、これまで蓄積してきたシステム構築や運用のノウハウは自社から散逸してしまう。
内部のスキルセットを一度手放してしまったら、後から取り戻すことは難しい。
システムがダウンした時に素早く復旧させたい時、マルウェアの侵入等でセキュリティトラブルが発生した時などでも、クラウドサービスは対応にタイムラグが発生する。
こうした急を要する際、自社のインフラやシステムを知り尽くし、運用経験が豊富な熟練のエンジニアがいれば、すぐに自社のデータセンターに駆け付けて対応ができる。
1-3. 機密情報や知的財産を保管したい
契約書、顧客名簿、研究開発情報、製品の仕様書や図面、設計図、検査手順書など、ビジネスにとって極めて重要な機密情報や知的財産は、パブリッククラウドがどれだけ安全だとしても社外に出したくない、または社内規定によって出すことができないという企業は多い。
オンプレミスなら、自社保有のサーバーやストレージに機密情報や知的財産を安全に保管することができる。
1-4. セキュリティやガバナンスを確保したい
「令和2年情報通信白書」でも、企業がクラウドサービスを利用しない理由は、「情報漏洩などセキュリティに不安がある」が31.8%と2番目となっている。
「クラウドの導入によって自社コンプライアンスに支障をきたす」という理由も4.1%ある。
オンプレミスは、自社のポリシー次第でどこまでもセキュリティレベルを高めることができる。
セキュリティパッチの適用、不要なポートの削除、アクセス制御、ログ取得などの細かな管理も可能だ。
事業者まかせになってしまうクラウドサービスと比べて、セキュリティ体制の監査を実施する際も、オンプレミスなら制限なしにシステム監査を実施できるが、クラウドサービスは監査ができない場合もある。
1-5. ネットワークの遅延を回避したい
クラウドサービスは、インターネット経由でサーバー環境を利用するため、外部に出してしまうと連携システムのネットワーク遅延が発生する。
それによって業務のパフォーマンスが落ちてしまったら元も子もない。
ネットワークの遅延問題は、閉域網による専用線の敷設やVPNの導入で解消されることもあるが、高額な通信回線コストを負担しなければならない。
その点、オンプレミス環境下のシステムなら、同一ネットワーク内に構成されているためシステム間の遅延はほぼ起こらないといってよい。
2. オンプレミスとパブリッククラウドの違いとは
クラウドサービスは一般的に、パブリッククラウドとプライベートクラウドの2つに大別できる。
パブリッククラウドは、クラウドサービス事業者のデータセンター内に構築したサーバー、ストレージ、ネットワークなどのコンピューティングリソースを、ユーザーがインターネット経由でアクセスして自由に使えるサービスだ。
- IaaS(Infrastructure as a Service)
- サーバー、ストレージ、ネットワークなど基本的なITインフラ機能のみを提供
- PaaS(Platform as a Service)
- IaaSの提供範囲に加えてアプリケーションを開発・実行するためのプラットフォームを提供
- SaaS(Software as a Service)
- アプリケーションまですべて含めて提供
プライベートクラウドは、自社内にサーバーやネットワークなどのクラウド環境を構築し、社内の各部署やグループ会社に提供するサービスだ。
共通の環境を複数で利用するクラウドの性質はあるものの、データセンター、ファシリティ、ハードウェアを自社で調達して構築し、その後も運用するという点ではオンプレミスと極めて近い。
そこで改めてオンプレミスとパブリッククラウドの違いを考えてみる。
オンプレミスのメリットは、先に挙げたように自社の資産やリソースを自由に活用できること、データを外部に持ち出す必要がないこと、他システムとの連携でもネットワークの遅延が発生しないことなどだ。
パブリッククラウドは、一般的に初期費用が無料で、低コストでスタートができる。
料金は月額払いとなり、コスト形態は資産でなく経費となることも大きな特徴だ。インフラ調達期間も短く、サーバー台数の増減やスペック変更などにも必要に応じて対応できる。
障害対応、基盤リプレース、構成管理/運用、リソース追加/削除などの管理はサービス事業者側で対応し、ユーザー側の運用や保守に対する工数は大幅に削減可能だ。
オンプレミスとパブリッククラウド、それぞれ特徴はあるが、資産を有効に活用できるオンプレミスのメリットと、資産管理や運用保守のわずらわしさから解放されるパブリッククラウドのメリットの両方を兼ね備えたサービスがある。それが伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)の「TechnoCUVIC Zero(テクノキュービック・ゼロ)」だ。
3. パブリッククラウドと同じシステム基盤を自社内に置く「TechnoCUVIC Zero」
TechnoCUVIC Zeroは、CTCのデータセンターで10年以上の運営実績のあるクラウドサービスを、オンプレミスのようにユーザー企業専用の仮想化基盤として利用できるサービスだ。
データセンターは、ユーザー企業が所有するものを利用し、自社の電力設備や空調機器などと合わせて自由に運用できる。
インフラ部分のサーバー、ストレージ、ネットワークと回線やラック筐体はCTCが提供し、運用はすべてCTC側で実施する。
そのためユーザー企業による定期的なリプレースが不要となり、ハードウェアの保守期限を気にすることなく利用ができる。
仮想化基盤のバージョンアップ、リプレースもサービス内で実施するため、追加費用はかからず、ユーザー企業はアプリケーション、ミドルウェア、OS領域の運用に専念ができる。
まさに、オンプレミスとクラウドの「いいとこ取り」のサービスだ。
以上のように、オンプレミスとパブリッククラウドのメリットや特徴を見てきたが、自社の効率的な資産活用に向けて最適なサービスを選んで欲しい。
TechnoCUVIC Zero の詳細については、以下よりご覧いただくことができる。