技術・機能解説、ノウハウ|業務改善、可視化
プロセスマイニングとは?|業務プロセスの可視化と改善から
DX(デジタルトランスフォーメーション)の単語を世に広めることになったDXレポートが2018年に公開されてから3年程経過した。
レポートでは、DXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しているが、DXを達成して企業変革に至った事例はあまり見かけない。
2020年12月に経済産業省が公開したDXレポート2の通り、全体の9割以上の企業がDXに全く取り組めていない現状はある意味、肌感と合っている。
DXに取り組む前の現状業務プロセスの可視化と業務改善がそもそも進んでいないことも原因と考える。
そうした中で、DX推進の次の一手として、業務プロセスの可視化や改善を得意とするプロセスマイニングが、企業から注目を集めている。
そこで本記事では、DX推進の活路を見出したい方に向けて、プロセスマイニングの概要をはじめ、なぜDXの切り札に成りえるのか、どの業務にプロセスマイニングを適用できるのか等について解説するとともに、DX推進に不可欠なプロセスマイニングを体験する方法をご紹介する。
▼ 目次
・プロセスマイニングとは
・プロセスマイニングは業務改善やDX実現の切り札に成りえるのか
・業務へのプロセスマイニングの適用
・プロセスマイニングの実力とは
・プロセスマイニングを始めるには何が必要?
・プロセスマイニングを体験する方法
1. プロセスマイニングとは
プロセスマイニング(Process Mining)とは、システムやアプリケーションに蓄積されているイベントデータを活用して業務の可視化や業務改善を行う手法を指す。
プロセスマイニングの言葉自体は3年前から日本でも知られるようになったが、その基礎概念はオランダで1990年代に誕生した。
日本では、2018年以降RPAに続く成長分野として注目が高まっている。
国内でプロセスマイニングが注目されるようになった背景として、後ほど記述するDXとの関係はもちろんあるが、市場にプロセスに対する考えが変化してきたことも大きな要因といえる。
モノからコトへと顧客から求められる要望が広がっていくことへと合わせて、サブスクリプション型のビジネスモデルによる利用価値としてのサービス提供モデルが主流となり、サービスプロセスの品質維持/デリバリー/コストに対する重要性は、以前より高まっている。
また、企業内でサービスプロセスは日々デジタル化されており、目に見える形ではなくなっていることから、デジタル化されたサービスプロセスを可視化し管理するためには、プロセスマイニングのイベントデータを軸に業務の可視化/改善を目指すような考え方やツールも必要になってくる。こういった環境変化が、日本でも注目されるようになった背景といえる。
2. プロセスマイニングは業務改善やDX実現の切り札に成りえるのか
次にプロセスマイニングとDXについて触れていく。
以下はDXレポート2掲載されている、DXの対象分野とその成熟レベルを表すものである。ここでは、5つの対象領域と4段階の成熟度でマトリックスが構成される。
図 1. DXフレームワークとプロセスマイニング
対象領域のうち、プロセスマイニングがターゲットとなるのは、業務のデジタル化である。
下記はDXの取り組み領域である。
- ビジネスモデルのデジタル化
- 製品/サービスのデジタル化
- 業務のデジタル化
- プラットフォームのデジタル化
- DXを進める体制の整備
DXを推進するにあたっては、業界により違いはあるものの、業務のデジタル化とプラットフォームのデジタル化に取り組みつつ、DXを推進する体制の整備を行い、製品・サービスのデジタル化を広げ、最終的にビジネスモデルのデジタル化へと波及していく方法が、通常の流れとなる。
プロセスマイニングは、まさに業務のデジタル化に効果を発揮する考え方となる。
デジタル化が進むサービスプロセスに対して、プロセスの可視化/管理の面で、プロセスマイニング以上に適するものは少ない。
では、プロセスマイニングはどのような業務分野に適用できるのだろうか。
3. 業務へのプロセスマイニングの適用
プロセスマイニングの適用分野について触れていく。
プロセスマイニングはグローバル事例が多いため、基幹システムが関連する経理系の業務から、データセンターや機器の障害対応業務、マーケティング関連業務、物流倉庫管理業務に至るまで、すでに様々な分野に適用されている。
図 2. プロセスマイニングの活用業務
適用分野の共通点は、下記のいずれかに関連している点である。
- コスト削減
- 顧客満足向上
- コンプライアンス強化
経営課題に直結する大きなテーマに対し、プロセスマイニングは効果を発揮するといえる。
具体的には、下図の事象を可視化することができる。
図 3. プロセスマイニングで実現できること
上記は従来的には、ヒアリングや業務観察で課題の認識、改善がされていた分野であるが、ヒアリング対応者の主観が入る点や、調査に時間がかかるといった課題があった。
プロセスマイニングを適用することで、リアルタイムかつ定量事実情報で業務プロセスの現状を把握できることは、業務改善活動に携わったことがある人にとっては衝撃である。
4. プロセスマイニングの実力とは
ここからは、プロセスマイニングの実力について、プロセスマイニングツール「Celonis」の画面を参考に解説する。
4-1. イベントデータ(事実情報)から業務フローを可視化
Celonisにイベントデータを投入すると、業務フローを自動的に可視化できる。
4-2. ボトルネック / 手戻り、違反プロセス等の改善点を可視化
可視化された業務フローから、気づき難いボトルネックや手戻り、違反プロセス等の業務改善点を可視化できるため、pDCA を加速できる。
4-3. 業務改善を実践するためのプロセスオートメーション
フローの中で、AIやRPAの活用による業務の自動化を検討できるようになる。
4-4. モニタリング / 効果測定
Celonisには、業務プロセスのモニタリング、効果測定をするためのダッシュボードが備わっており、各種の指標評価もできる。
上記の画面からもわかるとおり、プロセスマイニングは文字通りプロセス様々な角度で掘り出すことが可能となる。
Celonisの詳細資料については、以下よりご欄いただくことができる。
5. プロセスマイニングを始めるには何が必要?
次に、プロセスマイニングを実施するために、必要なデータについて考えてみる。
極論をいえば、下記のデータがあれば、プロセスマイニングを実施できる。
- タイムスタンプ
- 個別ID
- アクティビティ(活動内容を表すワークフローのステータスのようなもの)
プロセスマイニングは、イベントデータを時系列に並び替えて、フローパターンを可視化するものなので、どのような業務やシステムでも上記3つの項目があれば適用が可能となる。
ここで必ず出る問題が、データがないとプロセスマイニングできないのかということである。
結論をいえば実施できないが、データをとることができない業務がプロセスのクリティカルな部分を占めていないかぎりは、今入手できるデータでプロセスマイニングを実施する意味は大いにあると考える。
6. プロセスマイニングを体験する方法
ここまでプロセスマイニングについて説明してきたが、やはり自社データで試さないと効果は実感できないという方も多いだろう。
CTCではプロセスマイニングツール「Celonis」のPoCサービスを準備しており、PoCのコンセプトを「必要なデータは最小限、実施負担も最小限、ただし獲得情報は最大限に」とし、下記を目的にプロセスマイニングを体験していただくことを目的にしている。
- プロセスマインニングの業務適合性と有効性の確認
- ビジネスインパクトの試算
図 8. プロセスマイニングツール「Celonis」のPoCサービス
顧客の負担は、ヒアリング4回と操作体験会の1回への参加のみ。
ライセンスはCTCが準備するため、現状保有しているデータをCTCに提供の上、数回のヒアリングに協力いただくだけで、PoCサービスが可能となる。
DX推進を加速させる上のさらなる一手として、「見て・触って、見込まれる効果を体感できる」プロセスマイニングのPoCの利用についてご興味を抱いた方は、是非とも以下よりご相談いただきたい。
まとめ
ここまで、下記に焦点をあてて解説した。
- プロセスマイニングの概要
- プロセスマイニングとタスクマイニングの違い
- プロセスマイニングはDX推進に有効なのか
- 業務へのプロセスマイニングの適用
プロセスマイニングについてのイメージや適用方法、効果に興味があれば、経営課題に直結する課題に対して、ぜひともCTCのプロセスマイニングPoCサービスの検討と、無料体験会への参加を検討していただきたい。