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閉域接続じゃないとダメ!?クラウドサービスへの接続ってどうしていますか|CDEC8.0
こんにちは、CDEC事務局の塩見です。
これまでCDEC(CTC Datacenter Exchange Community)は、オフライン・オンラインと開催し参加者の皆様と双方向のディスカッションを行ってまいりました。この度新たな取り組みとしてCDEC8.0では、より皆様が参加しやすいようWEB記事ベースで開催することといたしました。
今回のCDECのテーマは「クラウドサービスとオンプレミスの閉域接続」です。
テレワーク推進に伴い、企業のクラウドサービスの活用も進んでいますが、そこで一つの議論となるのがクラウドサービスへの接続方法です。
クリティカルなシステムや情報をクラウド上で扱う場合に重要となってくるのが「遅延」や「セキュリティ」などを考慮したネットワークの選択です。そして、その課題をクリアするための選択肢の一つであるのが「閉域接続」です。現在クラウドベンダーや通信キャリアからは様々なクラウド閉域接続サービスが提供されています。
閉域接続を一つとっても多様な選択肢がある中、情報システム部門の皆様はどのような基準でクラウドサービスへの接続方法を選択しているのでしょうか?
さらには、クラウドサービスの利用用途によって接続方法を変えているのでしょうか?
そして、本当にクラウドサービスへの接続は閉域接続にする必要があるのでしょうか?
CDEC8.0では3月上旬~中旬にわたり、クラウド接続サービスの選定に関わる皆様に向け、クラウドへの接続方法に関するアンケート調査を実施しました。
本記事では、そのアンケート調査の結果と、CDEC事務局の考察を共有させていただきます。
▼目次
1. クラウドサービスへの閉域接続、行っていますか?/検討していますか?
2. SaaSへの閉域接続
3. IaaSへの閉域接続
1. クラウドサービスへの閉域接続、行っていますか?/検討していますか?
アンケート内容は下記になります。
- SaaS、PaaS、IaaSといったクラウドサービスとの接続方法について、閉域接続している、もしくは閉域接続を検討しているか
- 閉域接続を選ぶ理由
- 接続事業者選定、およびその理由
また、アンケート回答者は下記の通りです。
- クラウドサービスとの閉域接続を検討している企業の方
- 既に、クラウドサービスと閉域接続をしている企業の方
2. SaaSへの閉域接続
SaaSとオンプレミス、或いはSaaS間の閉域接続についてのアンケート調査結果と考察をお伝えします。
2-1. SaaSとの閉域接続について利用中または検討中ですか?
全体のうち、「SaaSとの閉域接続について利用中または検討中」と回答された方は39%でした。
そのうち、8割の方が検討中であり、利用している方よりも検討している方が多いことが分かりました。
2-2. SaaSとの閉域接続を利用または検討する理由は何ですか?
SaaSとの閉域接続を利用または検討する理由として、6割の方が選んだのは「セキュリティの確保」でした。
次点は「シームレスにマルチクラウド接続するため」「柔軟なネットワーク設計」「通信品質の確保」でした。
閉域接続サービス提供事業者の選定に関しては、「クラウド接続に慣れている事業者がやはり望ましい」という声が挙がりました。
SaaSはソフトウェアをインストールすることなくスピーディに導入できる点がメリットですが、接続方法に関しても手軽さを求められているのではないでしょうか。
閉域接続の実績のある事業者を選ぶことでセキュリティを確保しながら手間をかけずに、閉域接続を利用したいという需要があると考えられます。
すでに閉域接続をご利用中の回答者からは「セキュリティ対策のコスト面」で満足感を得られているなどというコメントがあがりました。
3. IaaSへの閉域接続
IaaSとオンプレミス、IaaS間の閉域接続についてのアンケート調査結果と考察をお伝えします。
3-1. IaaSとの閉域接続について利用中または検討中ですか?
全体のうち、「IaaSとの閉域接続について利用中または検討中」と回答した方は69%でした。
そのうち、56%の方が閉域接続をすでに利用中と回答されました。SaaSとの閉域接続は検討中という回答が多かった一方で、IaaSとの閉域接続については既に利用中の方が過半数を占めました。
図3. IaaSとの閉域接続について利用中または検討中ですか?
3-2. IaaSとの閉域接続を利用または検討する理由は何ですか?
IaaSとの閉域接続を利用または検討する理由としては、「セキュリティの確保」が一番多く約9割を占めました。
そのほか「通信品質の確保」(56%)、「ネットワーク遅延の最小化」(38%)、「柔軟なネットワーク設計」(25%)などが順に続きました。
図 4. IaaSとの閉域接続を利用または検討する理由な何ですか?
閉域接続サービス提供事業者の選定に関しては、検討中の方からは「現在利用中の通信キャリア」や「現在お付き合いのあるシステムインテグレータ」との回答が多くあがり、現在利用中のサービスと合わせて閉域接続も同一事業者より提供されることを望んでいると考えられます。
また、お付き合いのある事業者はお客様のシステム背景を把握していることが多く、希望を相談しやすいといった点もメリットと考えられます。さらには昨今ネットワークエンジニアの枯渇が言われている中、自社にネットワークエンジニアを保有していない場合にはサービス提供事業者へ充実したサポート体制を期待する傾向もあるようです。
次に利用者の満足度ですが、100%の方が満足していると回答しました。満足している理由は以下のコメントの通り様々でした。
- セキュリティの確保が閉域接続の目的だったが、期待通りだった
- オンプレシステムと連携しやすくなった
- セキュリティ対策のコスト
回答からも閉域接続そのものに対する利用者の満足感は高いことが伺えます。IaaSは環境構築の自由度が高いのがメリットですが、反面ネットワークに求められる要件も様々です。しかし閉域接続はそれらの要件にも対応していると考えられます。
一方で提供事業者やサポート面に関するコメントはなく、例えば障害時の対応などお客様が閉域接続サービスにプラスアルファで求めることが満たされているかは検討の余地がありそうです。
その他の回答として、データセンターサービスへの閉域接続を検討中とご回答いただいた方もいらっしゃいました。
また、クラウドへの接続だけでなく、DC事業者が提供するサービスへの閉域接続ニーズも少なからずあるようです。
まとめ
ここまでクラウドへの接続に関するアンケート結果を順に見てまいりましたが、大きく以下3点にまとめられます。
- 閉域接続を利用または検討する対象のクラウドは「IaaS」「SaaS」の順で多かった
- SaaSとの閉域接続を利用中または検討中と回答したのは、アンケート回答者のうち38%にとどまり、そのなかでも検討中の人が8割を占めた
- SaaSとの閉域接続に関してはインターネット接続が一般的で、閉域接続は検討に留まっている
- 一方で、SaaSとの閉域接続の需要もあるように見受けられる
- どのようなSaaSに閉域接続のニーズがあるかはこれから見ていく必要がある
- IaaSで閉域接続は既に利用されている傾向で、利用者の満足度も高いが、サポート面が十分であるかは検討していく必要があるのではないか
クラウドへの閉域接続に関して、各社の対応や課題、その課題の解決策などリアルな現場が垣間見える結果となりました。
この他にも興味深い回答もございましたが、各社の機微に触れる内容も多く、本レポートでは割愛させていただきます。