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ニューノーマル時代に向けたデジタルシフトとVDIクラウド
新型コロナウイルスの感染防止という観点から、ニューノーマルに向けた社会変化が起きている。
例えば、生活の中心はリアルからバーチャルへと大きく変化し、企業においてもデジタルシフトが加速している。緊急事態宣言は解除され、コロナショックが収束しても完全な終息までには時間がかかる。
こうした背景から、変化に俊敏に対応できる企業文化や価値観の変革が求められている。
働き方改革を推進するワークシフトに、業務をクラウドネイティブに対応させるクラウドシフト、そしてデータに基づいた意思決定を実現するためのデータシフトなど、ニューノーマルに対応したデジタルシフトが加速している。
緊急事態宣言下の4月の都内で約6割まで増加したといわれるテレワーク導入率だが、今後もそのニーズは高い状況が続く。
そこで、テレワークを前提とした業務改革が求められている。
その解決策のひとつとして伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)ではセキュアなPCとしてVDIの導入を提唱している。
本記事ではニューノーマル時代におけるテレワーク環境、特にVDIをクラウドで利用するに整理すべき点、注意点を分かりやすく解説する。なお、解説動画については以下よりご欄いただくことができる。
▼目次
・ニューノーマルな働き方に求められる業務改革
・VDIクラウド導入のポイント
・CTCの推奨するVDIクラウド基盤のポイント
1. ニューノーマルな働き方に求められる業務改革
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 エンタープライズクラウド営業部の橋本竹史は、ニューノーマルな働き方に求められる業務改革を一枚のチャートで示す。
コロナ禍以前のCTCでは、オフィスや自宅にサテライトオフィスなど場所を問わない働き方を実践していたが、緊急事態宣言後は原則在宅勤務となり、社員は自宅のインターネット回線か会社が支給するスマートフォンの通信回線を利用したテレワークを実践してきた。
また、顧客とのコミュニケーションにおいては、オンサイトからオンライン会議へとシフトし、チャットや電話も活用して、社内外との会議もオンラインで対応している。こうした変化が起きた一方で、テレワーク環境を実践するVDIクラウドに関しては、変更なしで運用を継続してきた。
図 1. ニューノーマルな働き方改革への意向/業務改革
CTCでは、2020年1月から全社的なVDIクラウドを導入しており、4月3日の午後から約14,000名の利用者が在宅勤務に切り替わっても、システム構成を変更せずに各自が自宅からリモート接続で業務を遂行できた。
図 2. CTCのテレワーク環境
こうした実績をもとに、橋本は「VDIのクラウド利用における選定のポイントとして、特に注目してもらいたいのは、インフラの柔軟性です」と提案する。
2. VDIクラウド導入のポイント
仮想デスクトップ環境は2つの要素で構成されている。
- 管理基盤
- 仮想デスクトップ環境
「管理基盤」では、利用者のセッション管理や認証、OSの配布などの処理を行う。
管理基盤によって承認されたユーザが実際に利用するWindows 10などを提供するIT基盤が「仮想デスクトップ環境」になる。
VDIクラウドの導入においては、この2つの構成要素を検討していく。
図 3. VDIを構成する要素
具体的な確認ポイントは4点になる。
- VDI管理機能の柔軟性
- 仮想デスクトップ基盤のライセンス制限
- 仮想デスクトップ用OS(Windows 10など)と、Officeライセンス購入方法(持ち込み)の制限
- 「管理基盤」と「仮想デスクトップ環境」でのインフラ要件
2-1. VDI管理機能の柔軟性
VDI管理機能の柔軟性は「仮想デスクトップ用OSを管理・展開する方法に注意が必要だ」と橋本は指摘する。
通常、OSとアプリをセットにしたマスタとなるテンプレートを準備して、利用者ごとに複製を展開(配布)して、仮想デスクトップ環境を構成する。
そのため、テンプレートの作成と展開における柔軟性は、運用工数に大きく影響する。
加えて、セキュリティ対策を強化する多要素認証や、通信事情に合わせた帯域制御に、Web会議システムの通信定義など、きめ細かい設定が必要になる。
こうした柔軟性において、橋本は「Citrix製品やVDI専門ソフトが優れている部分だ」と評価する。
その理由について、「AWS WorkspacesやMicrosoftのWVDなどでも管理はできるが、機能や利便性は劣る」と分析する。
2-2. 仮想デスクトップ基盤のライセンス制限
仮想デスクトップ基盤のライセンス制限としては、マルチテナントがマイクロソフト社の利用規約で不可となっているので、一つの仮想基盤に2社以上の相乗りはできない。
そのため「仮想基盤を企業単位で分ける必要がある」と橋本は説明する。
2-3. 仮想デスクトップ用OSとOfficeライセンス購入方法(持ち込み)の制限
利用するクラウド事業者が「Listed Provider」の場合は、ライセンスの持ち込みに制限がある。
具体的な「Listed Provider」とは、Microsoft、Alibaba、Amazon、Googleになる。
これらのパブリッククラウドサービスには、ソフトウェア アシュアランスとライセンス モビリティ権が付属しない状態で購入したオンプレミス ライセンスは、パブリック クラウド プロバイダーが提供する専用ホスト クラウド サービスに展開できない。
そのため「すでにオンプレ利用の権利を保有していても、別途ライセンス購入が必要となる可能性がある」と橋本は注意を促す。
なお、「弊社の提供するTechnoCUVIC VPは、現状Listed Providerの対象外」と補足する。
2-4. 「管理基盤」と「仮想デスクトップ環境」でのインフラ要件
「インフラに求める要件」では、「管理基盤」と「仮想デスクトップ環境」で利用するリソースの違いから、運用の規模が大きくなる場合は、それぞれに分けて管理する方法を推奨している。
橋本は「管理サーバは、数VMあれば対応できますが、仮想デスクトップ基盤では、ユーザ数に比例してサーバ台数が必要になり、CPUよりもメモリが多めな基盤の構築を推奨します」と説明する。
3. CTCの推奨するVDIクラウド基盤のポイント
4つの確認ポイントを見定めた上で、CTCでは用途に合わせたVDIクラウド基盤の構成を図のように整理している。
図 4. VDI基盤 クラウド選択
まず、特定用途や短期間などの一時利用であれば、AWS WorkspacesのようなパプリッククラウドサービスによるVDIクラウドの利用が想定できる。
しかし、本格的な利用を考えると、設定などの柔軟さから、管理基盤にはCitrix Cloudを採用し、仮想デスクトップ基盤をMicrosoft WVDやTechnoCUVIC VPといったクラウドサービスに構築する。
コストやスピードを重視するか、柔軟性や大規模運用を想定するかで、選択するクラウドサービスにも違いがある。そのポイントをCTCでは一枚のチャートに整理している。
図 5. VDIクラウド比較
運用の規模や期間に応じて、それぞれに最適なVDIクラウドが推奨されている。
その中で、橋本は「TechnoCUVIC VPは、多くの企業が仮想基盤で採用し、運用も慣れている仮想化ソフトをクラウドで提供しています。すでに利用している既存の基幹システムをVDIクラウドの近くに置いて、遅延などを解消したいと考えているのであれば、Azureなどへ作り直して移行するよりも、TechnoCUVIC VPの方が移行しやすいと思います」と優位性を語る。
一方で、Azure WVDではマルチセッション向けの特別ライセンスが用意されている。
マルチセッションとは、1つのWindows 10を複数ユーザでシェアして利用できるライセンス契約になる。
シングルセッションに比べ、仮想デスクトップ基盤を安価に利用できるが、注意点もある。
1つのリソースを複数人で共有するので、誰かがリソースに負荷のかかる作業をすると他のユーザに影響が出る。
また、動作保証が得られなかったり、非サポートとなるアプリが出てくる。
それに対して、シングルセッションでは各自が独立したWindows 10を利用するので、上記のような課題の大半は解消される。
以上の条件を考慮して、VDI環境でクラウドを選択するポイントとして、橋本は次の4つを示す。
- Citrix Cloudを利用することで「管理基盤の運用」から開放される。また、柔軟なVDI設計が可能になる
- デスクトップ仮想化基盤(IaaS)は、OSの提供方法や導入規模、そして他システムとの親和性で選ぶ
- Microsoft製品のライセンス利用は、状況を整理し影響度を確認する
- VDI利用ユーザの「利用シーン」を整理して、NW設計の条件を確認する
TechnoCUVIC VP に関する詳細は下記よりご覧いただくことができる。
さいごに
最後に橋本は「弊社では数万ユーザ以上の大規模案件含め、様々な業種・用途でVDIを導入しています。GPU仮想化(vGPU)の実績も国内有数です。自社利用含め、VDIのクラウド利用も増えております。豊富な実績がありますので、ぜひお声がけください」と締めくくる。
解説動画の資料については以下よりご覧いただくことができる。